日焼け止めは、SPFとPAという指標をチェックして選んでいる方が多いと思います。しかし、SPF値とPA値が高いものだけを、いつもなんとなく選んでいませんか?
そこで今回は、紫外線の種類と、SPFとPAを意識した日焼け止めの選び方のポイントをご紹介します。
紫外線の種類
太陽光線には、可視光線、赤外線、紫外線の3つがあり、さらに紫外線には、UVA、UVB、UVCの3種類があります。
UVAは、波長が315~400 nmの紫外線で、なかでも340~400nmの長波長のUVAをロングUVAと呼びます。太陽から届く紫外線の約9割を占めていて、曇りでも届き、部屋の中へも届くので、皮膚の真皮にまで侵入して活性酸素を増やし、線維芽細胞の細胞壁やDNAにダメージを与えます。
そして、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンを劣化させる光劣化を起こし、肌のハリや弾力を奪って、たるみ、しわ、ほうれい線、たるみ毛穴、ゴルゴライン、マリオネットラインなどの原因になります。また、メラニン色素を酸化させるはたらきもあります。
UVBは、波長が280~315 nmの紫外線で、短期的なダメージを与えるエネルギーが大きく、太陽から届く紫外線の1割程度を占めています。日焼けの炎症反応であるサンバーンや、数日後に肌が黒くなるサンタンの原因となります。
また、老人性色素斑、炎症性色素沈着、ソバカス、脂漏性角化症の原因になったり、表皮細胞やDNAを傷つけたりします。さらに、紫外線による免疫低下をもたらし、皮膚がんや感染症などの原因にもなります。
UVCは、波長が100~280 nmの紫外線で、極めて有害ですが、通常はオゾン層によって吸収され、地上まで届くことがありません。ただし、近年のオゾン層破壊によって、地上まで届いてしまうリスクが心配されています。
SPFとPA
SPFとは、UVBの防止効果を示す指標で、サンバーンを起こすまでの時間を何倍に延ばせるかの目安を表します。
数値が高いほど紫外線ブロック力が強いことを意味し、現在の日本では、SPFの上限は50+です。ただし、SPFは日焼け止め化粧品を1平方センチメートル当たり2mgずつ皮膚に塗ったときの値を測定しているので、適量を使わないと効果を発揮できません。
PAとは、UVAの防止効果を示す指標で、UVA照射後の2~24時間以内に生じる皮膚のサンタンを指標化したものです。「+」の数が増えるほどUVAの防止効果が高まります。
SPFとPAを意識した日焼け止めの選び方
日焼け止めの成分には2種類あります。皮膚の表面で紫外線を化学的に熱に変えることで、紫外線のエネルギーを弱める紫外線吸収剤と、肌の表面で紫外線を跳ね返すことで、UVAとUVB両方の紫外線ダメージを防ぐ紫外線散乱剤です。
紫外線吸収剤を使うとSPF値、PA値が高い日焼け止めをつくることができるので、紫外線防御力が高いことがメリットです。一方、肌への負担が大きいことや刺激を感じることがデメリットです。
紫外線散乱剤は、肌への負担が少ないことと効果が長持ちすることがメリットですが、紫外線吸収剤に比べ紫外線防御力が低くなります。
紫外線は1年中降り注いでいるので、年間を通して紫外線対策が必要ですが、生活シーンに合わせてSPFとPAを意識して、日焼け止めを使い分けることが大切です。
例えば、炎天下でのレジャーやマリンスポーツなどは、SPF50・PA+++以上、屋外で短時間スポーツを楽しむ場合は、SPF30・PA+++程度、冬の日常生活は、SPF5以上、PA+以上がおすすめです。
まとめ
日焼け止めは、紫外線対策のメインのアイテムです。紫外線ブロックの指標であるSPFとPAをしっかりと理解し、利用シーンに適した日焼け止めを選びましょう。
さらに、SPFとPA以外にも、配合されている保湿成分やエイジングケア化粧品成分などもチェックし、自分の肌質や肌状態に合ったものを選びましょう。